2026年5月10日

食後に胃が痛くなる原因は、逆流性食道炎や胃潰瘍、機能性ディスペプシアなどさまざまです。消化器内科の専門医が、症状のタイミング別の特徴や、放置してはいけないサインをわかりやすく解説します。
食後に胃が痛くなるのはなぜ?
食事をとると、胃は消化のために胃酸(いさん)を大量に分泌し、活発に動き始めます。
このとき、次のような状態があると、痛みとして現れることがあります。
- ・胃の粘膜が荒れていて、食べ物や胃酸に対して敏感になっている(急性胃炎・胃潰瘍・胃がんなど)
- ・胃の動きが強すぎて、または弱すぎて消化がうまく進まない(機能性ディスペプシアなど)
- ・胃の出口(幽門:ゆうもん)の働きが悪く、食べ物がうまく腸へ送り出せない(胃排出障害、胃がん、機能性ディスペプシアなど)
こうした仕組みが重なって、食後に胃の痛みや不快感が起きます。
「毎回ではないけれど、食後に胃が重くなる」という方も含め、繰り返す食後の胃の不調は、一度消化器内科で相談していただくのが安心です。
食後すぐ痛む場合と、しばらくして痛む場合の違い
食後の胃痛は、「いつ痛むか」によって、原因として疑う病気が変わってきます。
食後のタイミングと疑われる病気
| タイミング | 疑われる病気の例 |
| 食後すぐ〜30分以内 | 逆流性食道炎、急性胃炎、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、食道がん |
| 食後1〜3時間後 | 胆石症、アニサキス、慢性膵炎 |
| 空腹時に痛み、食べると楽になる | 十二指腸潰瘍 |
| 食事に関係なく痛む | 胃がん、膵がん、虫垂炎初期 |
「食べると痛くなる」のか「空腹のときに痛くなる」のかを意識しておくと、原因を絞り込むヒントになります。
食後の腹痛から考えられる主な疾患

食後の胃痛には、さまざまな病気が関係しています。
痛むタイミングや症状の特徴によって、疑われる疾患が異なります。
疾患名
- ・逆流性食道炎
- 胸やけ、酸っぱいものが込み上げる感覚を伴うことが多い
- ・機能性ディスペプシア
- 胃カメラや腹部エコーで異常がないのに、食後の胃痛・胃もたれ・早期満腹感が続く
- ・胃潰瘍
- みぞおちの痛み。進行すると吐血・黒い便が出ることも
- ・十二指腸潰瘍
- 空腹時に痛み、食べると一時的に楽になる傾向がある
- ・急性・慢性胃炎
- 胃の粘膜に炎症。吐き気・食欲不振を伴うことがある
- ・胆石症
- 右上腹部の痛み。脂っぽい食事後に悪化しやすい
- ・慢性膵炎
- 脂質摂取後の胃痛・背部痛、過去に血液検査アミラーゼ異常歴あり
このなかで、当院の外来で多くみられるのが、機能性ディスペプシアと逆流性食道炎です。胃カメラで異常が見つからないにもかかわらず、食後の不快感が続くという方は少なくありません。
「食べるといつもお腹が痛くなる」「食後すぐお腹が張る」「食後ずっと胃がもたれる」という症状を昔から繰り返している場合、機能性ディスペプシア(体質や自律神経関係の胃の弱さ)の可能性が高いですが、時折、ピロリ菌感染による胃症状の方が混ざっています。ピロリ菌は子供の時に感染し、ずっと胃を荒らし続けるものなので、若くても可能性があります。胃カメラ検査をして初めてピロリ菌が判明することは少なくありません。
一度検査で確認すること、あるいは検査が必要かを外来でご相談されることをおすすめします。
食後の腹痛を悪化させる食事・生活習慣
「食べると必ず痛くなる」という方の中には、食事の内容や食べ方、生活習慣が症状を悪化させているケースがあります。
悪化させやすい食事の特徴
| 種類 | 具体例 |
| 脂肪分の多い食事 | 揚げ物、こってり系ラーメン、焼肉、生クリームなど |
| 刺激物 | 唐辛子、香辛料、カフェイン、アルコール |
| 早食い・まとめ食い | 短時間での食事、1日1〜2食にまとめるなど |
| 食後すぐ横になる | 食べてすぐ就寝・昼寝する習慣 |
悪化させやすい生活習慣
次のような習慣も、食後の胃の調子を崩す原因になることがあります。
- ・喫煙
- 胃の粘膜への血流を低下させ、粘膜の回復を妨げます
- ・睡眠不足
- 自律神経のバランスが乱れ、胃の動きに影響します
- ・慢性的なストレス
- 胃酸の分泌や胃の運動機能に影響します
- ・不規則な食事時間
- 胃が消化の準備をする前に食べ物が入ることで負担が増えます
心当たりのある習慣があれば、まず一つずつ見直すところから始めてみてください。症状の改善につながることがあります。
こんな食後の腹痛は放置してはいけない
食後の胃の痛みには、「様子を見てよいもの」と「早めに受診すべきもの」があります。
以下に当てはまる症状がある場合は、放置せず消化器内科を受診することをおすすめします。
すぐに受診が必要なサイン
| 症状 | 考えられるリスク |
| 真っ黒な便・吐血がある | 胃潰瘍や十二指腸潰瘍からの出血の可能性 |
| 食後の痛みとともに体重が急激に減った | 胃がん・膵臓がんなど悪性疾患の可能性 |
| 右上腹部から背中にかけて強く痛む | 胆石症・急性膵炎の可能性 |
| 魚介類を食べた数時間後から激しく痛む | アニサキス(寄生虫)の可能性 |
| 冷や汗・顔色不良・意識がぼんやりする | 緊急性の高い状態の可能性 |
早めの受診を検討すべき状態
次のような場合も、自己判断での様子見は避けてください。
- ・今までの人生で経験したことがない不思議な症状
- ・食後の痛みが2週間以上続いている
- ・市販の胃薬を飲んでも改善しない
- ・食欲不振が続き、食事量が明らかに減っている
- ・昔から胃が弱い+親戚にピロリ菌や胃がんがいる
「食後に毎回痛むけれど、しばらくすると治まるから大丈夫」と思っていても、症状が繰り返す場合は何らかの病気が隠れていることがあります。
痛みが治まっていても、一度医療機関で相談することが大切です。
立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニックについて

当クリニックは、消化器疾患の診断と治療を専門としています。
腹痛・下痢・胃もたれをはじめとする消化器のトラブルに対応しています。
当クリニックの特徴
【検査・治療】
- ・消化器内視鏡専門医・消化器病専門医による安全・快適・精確な検査
- ・大腸ポリープは検査当日に治療/CT・MRI検査にも対応
【設備・サポート】
- ・オリンパス内視鏡・キヤノン超音波(エコー)の最新機器を使用
- ・男女別の更衣室・トイレ・準備用半個室を完備
- ・女性医師指定の内視鏡検査・肛門内科にも対応
【アクセス・診療日】
- ・土曜・日曜も診療
- ・立川北駅から徒歩1分/立川駅からペデストリアンデッキ直結(徒歩3分)・雨の日も濡れないルートあり
お腹の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q.食後の胃痛が続いていますが、病気ではないか不安です。
A.食後の胃痛が繰り返す場合、多くは逆流性食道炎や機能性ディスペプシアなどの可能性が高いです。ただし、腹部エコーや胃カメラの検査をしてみないと絶対大丈夫とは言えません。検査の結果「大した病気ではないとわかっただけでも気持ちが楽になる」という方も多くいらっしゃいます。不安が続くようであれば、一度受診して確認されることをおすすめします。
Q.市販の胃薬を飲めば治りますか?
A.一時的に楽になることはあります。ただし、飲み続けても改善しない・また繰り返すという場合、大きな病気の可能性があり、要注意です。市販薬で症状を抑えている間に、別の病気が進行してしまうこともあります。「なんとなく胃が弱い」と思っていても、一度きちんと調べておくと安心です。
Q.胃カメラが怖くて受けられません。それでも大丈夫ですか?
A.「胃カメラはつらい」というイメージをお持ちの方は多いです。当院では鎮静剤(眠り薬)を使用して、眠ったままの状態で検査を受けていただくことができます。目が覚めたら終わっている、という方がほとんどです。怖いと感じる気持ちは当然ですので、まず検査が必要かだけでもご相談していただければと思います。胃カメラ検査の前に、腹部エコー検査という無侵襲な検査だけ行うことも多いです。ピロリ菌だけ調べたい場合、自費4,500円になりますが、息をはくだけの検査という提案もよくします。
Q.胃が痛いとき、何科を受診すればよいですか?
A.消化器内科の受診をおすすめします。胃・腸・胆のう・膵臓など、食後の胃のあたりの痛みに関わる臓器はすべて消化器内科が専門になります。急に痛みが強くなった・冷や汗が出るほど痛いという場合は、救急外来を受診してください。
Q.食後の胃痛が何日続いたら胃カメラを受けた方がよいですか?
A.目安として、食後の胃痛が2週間以上続く場合や、市販の胃薬で一時的に良くなっても繰り返す場合は、一度胃カメラを検討することをおすすめします。胃潰瘍、ピロリ菌感染、胃がんなどが隠れていることがあります。症状だけでは判断が難しいため、胃カメラで直接確認することが大切です。
Q.食後にみぞおちが痛いのは胃がんの可能性もありますか?
A.食後のみぞおちの痛みの多くは、胃炎・胃潰瘍・逆流性食道炎・機能性ディスペプシアなどの良性疾患ですが、まれに胃がんが見つかることもあります。特に、体重減少、食欲低下、黒い便、貧血、痛みが長引くといった症状がある場合は、早めの検査が必要です。胃がんは初期には症状が乏しいこともあるため、心配な症状が続く場合は胃カメラで確認しましょう。
Q.食後の胃もたれと胃痛が続く場合、胃カメラは必要ですか?
A.食後の胃もたれや胃痛が続く場合、機能性ディスペプシアのことがありますが、胃炎・胃潰瘍・ピロリ菌感染・逆流性食道炎などが原因のこともあります。機能性ディスペプシアは「胃カメラで大きな異常がないこと」を確認してから初めて診断される病気です。そのため、症状が続く場合は一度胃カメラで調べておくと安心です。
Q.ピロリ菌がいると食後に胃が痛くなることはありますか?
A.あります。ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を起こし、胃痛・胃もたれ・吐き気・食欲不振などの原因になることがあります。若い方でも、子どものころに感染しているケースがあります。胃カメラでは胃の粘膜の状態を確認し、必要に応じてピロリ菌検査を行うことができます。
Q.胃カメラで異常がなければ、食後の胃痛は心配いりませんか?
A.胃カメラで胃がんや胃潰瘍などの重大な病気が否定できれば、大きな安心材料になります。ただし、見た目で異常がない場合、胃の動きや知覚過敏が関係する機能性ディスペプシアの可能性があります。その場合も治療や生活習慣の調整で改善を目指せます。
また、胃の症状と思って胃カメラを受けたが全く綺麗で何もなかったとき、よく機能性ディスペプシア(体質的、ストレス的なもの)としておしまいにされることがありますが、まれに膵癌や胆石など胃の外の病気のこともありますので、気になる時は必ず腹部エコー検査も受けましょう。「危険な病気が隠れていないか」を確認することが重要です。
Q.食後に胃が痛いとき、胃カメラと腹部エコーのどちらが必要ですか?
A.症状によって異なります。みぞおちの痛み、胃もたれ、胸やけ、吐き気が中心であれば、胃・食道・十二指腸を直接見る胃カメラが有用です。一方、右上腹部の痛み、脂っこい食事後の痛み、背中に響く痛みがある場合は、胆のうや膵臓を確認する腹部エコーが役立つことがあります。当院では症状に応じて必要な検査をご提案しています。
Q.胃カメラは当日すぐ受けられますか?
A.当日の予約状況や最後に食事をとった時間によって異なります。胃カメラは胃の中を空にして行う必要があるため、食後すぐには検査できません。症状が強い場合や緊急性が疑われる場合は、まず外来で診察し、必要に応じて早めの検査日程をご案内します。受診前にWEB予約やお電話でご相談ください。
Q.鎮静剤を使った胃カメラは本当に苦しくないですか?
A.個人差はありますが、鎮静剤を使用すると、うとうと眠ったような状態で検査を受けられるため、苦痛をかなり軽減できます。当院では「目が覚めたら終わっていた」とおっしゃる方が多いです。過去に胃カメラがつらかった方、嘔吐反射が強い方、不安が強い方は、鎮静剤を使った胃カメラをご相談ください。
Q.食後の胃痛がある場合、胃カメラの前日は何を食べればよいですか?
A.胃カメラ前日は、消化のよい食事をおすすめします。脂っこい食事、アルコール、刺激物は避け、うどん・おかゆ・白身魚・豆腐など胃に負担の少ないものが適しています。検査前の食事制限は予約時間によって異なるため、実際の検査前には当院からの案内に従ってください。
Q.胃カメラで逆流性食道炎もわかりますか?
A.はい。胃カメラでは、食道の粘膜の炎症、びらん、ただれ、食道裂孔ヘルニアの有無などを確認できます。胸やけ、酸っぱいものが上がる、食後にみぞおちや胸のあたりが痛むといった症状がある場合、逆流性食道炎が原因のことがあります。胃カメラで状態を確認することで、治療方針を立てやすくなります。ただ、逆流性食道炎は自覚症状と胃カメラでの見た目のひどさが乖離することが知られています。結局その症状が逆流性食道炎によるものなのかどうかは、胃カメラではなく胃酸を抑える薬が効くかどうかで初めて判定されることがよくあります。
Q.若くても食後の胃痛で胃カメラを受けた方がよいですか?
A.若い方では胃がんの頻度は高くありませんが、胃炎・逆流性食道炎・胃潰瘍・ピロリ菌感染・機能性ディスペプシアは年齢に関係なく起こります。特に、症状が長引く場合、家族にピロリ菌や胃がんの方がいる場合、市販薬で改善しない場合は、若くても一度確認しておく価値があります。
Q.食後の胃痛で受診すると、必ず胃カメラになりますか?
A.必ず胃カメラが必要なわけではありません。症状の経過、痛みの場所、年齢、内服薬、体重減少や黒い便の有無などを確認したうえで、胃薬で経過を見るか、胃カメラを行うかを判断します。ただし、症状が続いている場合や危険なサインがある場合は、胃カメラで直接確認することをおすすめします。悩んだら外来で胃カメラの必要性のご相談だけでも御検討ください。