2026年10月23日


みぞおちを押したときにズキッと痛んだり、重い鈍痛が続いたりすると、「何か悪い病気では?」と心配になりますよね。みぞおちの奥には胃や十二指腸、胆のう、膵臓など多くの臓器があり、痛む位置によって考えられる原因が変わります。
この記事では、立川駅直結の消化器内科クリニックの院長が、みぞおちを押すと痛い原因を右側・左側・真ん中の位置別に解説します。受診の目安や何科に行けばよいかもあわせてご確認ください。
みぞおちってどこ?押すと痛むのはなぜ?
みぞおちは、胸の骨(胸骨)のすぐ下にある、左右の肋骨にはさまれたくぼみのことです。医学的には「心窩部(しんかぶ)」と呼びます。
みぞおちのすぐ奥には胃があり、その周りに食道の出口、十二指腸、胆のう、肝臓、膵臓、大腸の一部(横行結腸)が集まっています。
押すと痛むのは「その奥の臓器」のサイン
普段は押しても痛くない場所が、押したときだけ痛む状態を「圧痛(あっつう)」といいます。圧痛は、押した場所の奥にある臓器に炎症や傷があるときに起こりやすい症状です。
医師が診察でお腹を押すのも、原因の臓器をしぼり込むためです。ただし、皮膚や筋肉、骨が原因で痛むこともあります。
【位置別】みぞおちを押すと痛いときに考えられる病気

痛む位置はあくまで目安です。痛みが広がったり移動したりすることもあるため、受診の参考としてご覧ください。
| 痛む位置 | 主に考えられる病気 |
|---|---|
| 真ん中 | 胃炎、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、アニサキス症、膵炎、膵癌 |
| 右側 | 胆石症・胆のう炎、十二指腸潰瘍、肝腫瘍 |
| 左側 | 胃の病気、膵炎、膵癌、便秘・腸のガス、ストレス性 |
| 下 | 十二指腸潰瘍、虫垂炎の初期、大腸の不調 |
みぞおちの真ん中を押すと痛い
真ん中の痛みは、胃が原因であることが多いです。
- 急性胃炎・慢性胃炎:暴飲暴食、アルコール、痛み止めの薬、ピロリ菌などで胃の粘膜に炎症が起こります。胃もたれや吐き気を伴うことがあります
- 胃潰瘍:胃の粘膜が深く傷つく病気です。食後に痛みが強くなる傾向があります。主な原因はピロリ菌と痛み止めの薬です
- 機能性ディスペプシア:胃カメラで異常がないのに、胃の痛みやもたれが続く病気です。胃の動きや知覚の乱れが関わります
- 逆流性食道炎:胃酸が食道に逆流して炎症を起こす病気です。胸やけや酸っぱいものが上がってくる感じを伴います
- アニサキス症:サバ・イカ・アジなどの刺身を食べてから数時間後に、みぞおちに激しい痛みが起こります
- 食道がん:飲み込むときのしみる感じやつかえ感、胸の奥の痛みとして現れることがあります
- 胃がん:早期では症状が出にくい病気です。痛みや胃の不快感が続くときは、胃カメラで確認することが大切です
食後の胃痛については「食後の胃痛は放置しないで」でも詳しく解説しています。
みぞおちの右側を押すと痛い
右側の奥には、胆のう・十二指腸・肝臓があります。
- 胆石症・胆のう炎:胆のう(胆汁をためる袋)にできた石が原因で、みぞおちから右の肋骨の下に痛みが出ます。脂っこい食事の後に起こりやすく、右肩や背中に痛みが広がることもあります。発熱を伴う場合は胆のう炎の可能性があります
- 十二指腸潰瘍:空腹時や夜間に痛み、食事をとると少しやわらぐのが特徴です。ロキソニンやピロリ菌が原因のことがあります。若い方にも多い病気です
- 肝臓の病気:急性肝炎や肝臓がんなどで肝臓が腫れると、右上のお腹に重い痛みや押したときの痛みが出ることがあります。だるさや黄疸(皮膚や白目が黄色くなる状態)を伴うこともあります
みぞおちの左側を押すと痛い
胃は体の少し左寄りにあるため、左側の痛みも胃が原因のことがあります。
- 胃炎・胃潰瘍:真ん中から左にかけて痛むことがあります
- 膵炎:膵臓に炎症が起こる病気で、みぞおちから左側、背中にかけて強く痛みます。アルコールや胆石が主な原因です。前かがみになると少し楽になることがあります
- 便秘・腸のガス:大腸が左上で曲がる部分にガスや便がたまると、みぞおちの左側が張って痛むことがあります
背中に広がる痛みについては「背中が痛いのは内臓の病気?」もご覧ください。
みぞおちの下を押すと痛い
みぞおちの下(おへその上あたり)の痛みには、次のような原因があります。
- 十二指腸潰瘍:胃の出口に続く十二指腸は、みぞおちのやや下から右寄りにあります
- 虫垂炎(盲腸)の初期:はじめはみぞおちやおへその周りが痛み、数時間〜半日ほどで右下腹部に痛みが移ることがあります。痛みの場所が移動したら早めに受診してください
- 横行結腸の不調:便秘やガスがたまると、おへその上あたりが張って痛むことがあります
しこりがある・固い・コリコリする
みぞおちの真ん中に、骨のような固いしこりを触れることがあります。多くは「剣状突起(けんじょうとっき)」という胸骨の先端の骨で、誰にでもあるものです。
やせている方は触れやすく、押すと痛むこともあります。
一方で、次のような場合は受診をおすすめします。
- しこりが大きくなってきた
- 骨っぽくない、少し柔らかいしこり
- 体重減少や食欲不振を伴う
病気以外の原因:ストレス・筋肉・骨

ストレス
ストレスや睡眠不足が続くと、自律神経(胃腸の働きを調整する神経)のバランスが乱れます。その結果、胃酸が増えたり胃の動きが悪くなったりして、みぞおちが痛むことがあります。
機能性ディスペプシアや胃潰瘍も、ストレスが悪化の要因になります。「ストレスのせい」と決めつけず、一度は検査で胃に病気がないかを確認すると安心です。
筋肉
腹筋運動や激しい咳、くしゃみの後に、お腹の筋肉(腹直筋)が筋肉痛になることがあります。体をひねったり起き上がったりしたときに痛みが強くなるのが特徴です。
骨・軟骨
肋骨と胸骨をつなぐ軟骨に炎症が起こる「肋軟骨炎」や、剣状突起の痛みなど、骨や軟骨が原因の痛みもあります。押すとピンポイントで痛み、体を動かすと響くのが特徴です。
内臓に異常がない場合は、整形外科での診察が必要になることもあります。
すぐに受診すべき危険なサイン

次のような症状があるときは、早めに医療機関を受診してください。
- 突然の激しい痛み、だんだん強くなる痛み
- 冷や汗、胸の締めつけ、息苦しさを伴う
- 吐いたものに血が混じる、黒いコールタールのような便が出る
- 38℃以上の発熱や、皮膚・白目が黄色い(黄疸)
- お腹全体が板のように固く、少し触れただけで強く痛む
- 痛みが右下腹部に移動してきた
- 体重が減っている、食欲がない状態が続く
心筋梗塞など心臓の病気に注意
心筋梗塞や狭心症では、胸ではなくみぞおちが痛むことがあります。心臓が原因の痛みは、押しても強さが変わらないのが特徴です。
冷や汗や胸の圧迫感、息苦しさを伴う場合や、痛みが続く場合は、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。
黒い便については「黒色便」のページもあわせてご覧ください。
みぞおちを押すと痛いときは何科?
みぞおちの痛みは、まず消化器内科を受診してください。
みぞおちの奥にある胃・十二指腸・胆のう・膵臓・肝臓は、いずれも消化器内科で診る臓器です。右側が痛む場合も、左側が痛む場合も同じです。
| 症状 | 受診先の目安 |
|---|---|
| みぞおちを押すと痛い、胃もたれ、吐き気 | 消化器内科 |
| 冷や汗、胸の締めつけ、息苦しさ | 救急(119番)・循環器内科 |
| 体を動かすと痛む、内臓に異常がない | 整形外科 |
受診の際は「痛む位置」「いつから、どんなときに痛むか(空腹時・食後・夜間)」「食べたもの」「飲んでいる薬」を伝えると、診断に役立ちます。
みぞおちの痛みで行う検査
問診と触診(お腹を押して痛む場所を確かめる診察)で原因の見当をつけ、必要に応じて次の検査を行います。
- 血液検査:炎症の程度や、肝臓・胆道・膵臓の数値を調べます
- 腹部エコー(腹部超音波検査):胆石、胆のう炎、肝臓・膵臓の異常などを、体の表面からあてた機械で調べます。放射線を使わず、痛みもありません
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査):食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、胃がんなどを調べます。ピロリ菌の検査も行えます。ピロリ菌が見つかった場合は、除菌治療で胃潰瘍の再発や胃がんのリスクを下げることが期待できます(リスクがゼロになるわけではありません)
- 超音波内視鏡(EUS):胃カメラの先端に付いた超音波で、胃の壁越しに膵臓や胆道を詳しく調べる検査です
当院では、点滴の鎮静剤(眠り薬)を使い、眠ったような状態で胃カメラを受けられます。鎮静剤を使った日は、自動車や自転車の運転はできません。鎮静剤を使わずに受けることもできます。
症状や緊急性によっては、受診した当日に胃カメラを行えることがあります。CT・MRI検査が必要な場合は、連携する画像診断センターで受けていただけます。
受診までの対処法と避けたいこと

受診までにできること
- 体を締めつけない服装で、膝を軽く曲げるなど楽な姿勢で休む
- 食事は無理にとらず、とるときはおかゆやうどんなど消化のよいものを少量にする
- 水分はこまめに少しずつとる
避けたいこと
- みぞおちを強く押したり、もんだりする:炎症がある場合、刺激で悪化することがあります
- 飲酒、脂っこい食事、香辛料、コーヒー:胃や膵臓、胆のうの負担になります
- 自己判断で痛み止めを飲む:解熱鎮痛薬の中には、胃の粘膜を荒らすものがあります。胃が原因の痛みを悪化させることがあるため、服用前に医師や薬剤師に相談してください
市販の胃薬で一時的に楽になっても、痛みをくり返す場合は受診してください。
よくある質問
- Q. みぞおちを押すと痛いのはなぜですか?
- A. みぞおちの奥にある胃や十二指腸、胆のう、膵臓などに炎症や傷があると、押した刺激で痛みが出ます。筋肉や骨が原因のこともあります。
- Q. みぞおちの右側を押すと痛いときは何科に行けばいいですか?
- A. 消化器内科を受診してください。右側の痛みは、胆石症・胆のう炎や十二指腸潰瘍、肝臓の病気などが考えられ、腹部エコーや胃カメラで調べることができます。
- Q. みぞおちを押すと楽になるツボはありますか?
- A. みぞおちを押して楽にする方法に、医学的な根拠は十分ではありません。炎症がある場合は、押すと悪化することもあります。痛むときは強く押さず、受診して原因を確かめましょう。
- Q. みぞおちのしこりを押すと痛いのはなぜですか?
- A. 多くは剣状突起という胸骨の先端の骨で、病気ではありません。ただし、しこりが大きくなる、骨っぽくない柔らかさ、体重が減っているといった場合は受診してください。
- Q. 便秘でもみぞおちが痛くなりますか?
- A. なります。みぞおちの下には横行結腸という大腸の一部があり、便やガスがたまると張って痛むことがあります。便秘が続く場合は、大腸の病気がないか調べることも大切です。
- Q. 胃カメラで異常がないのに、押すと痛いのはなぜですか?
- A. 機能性ディスペプシアのように、胃の動きや知覚の乱れで痛む場合があります。また、胆のうや膵臓など胃以外の臓器、筋肉や骨が原因のこともあります。腹部エコーなどで胃以外の臓器も確認しましょう。
立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニックについて
当院は、JR立川駅からペデストリアンデッキ直結で徒歩3分、多摩モノレール立川北駅から徒歩1分の、立川髙島屋S.C.10階にある消化器内科・内視鏡クリニックです。立川市だけでなく、昭島市・国立市・日野市などからも通いやすい場所にあります。
消化器病専門医・消化器内視鏡専門医の院長が診察し、胃カメラ、腹部エコー、超音波内視鏡(EUS)で、みぞおちの奥にある臓器を調べます。院長は、がん研有明病院で超音波内視鏡による膵臓・胆道の検査を研鑽してきました。胃カメラで異常がないのに痛みが続く方も、ご相談ください。
土日も診療しています。当院は予約優先制で、当日のご予約も受け付けています。WEB・LINE・お電話(042-506-1085)でご予約ください。予約なしでご来院の場合は、待ち時間が長くなることや、混雑状況によってはお断りする場合があります。