逆流性食道炎を悪化させない寝る向きとは?生活改善のポイントを医師が解説|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

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逆流性食道炎を悪化させない寝る向きとは?生活改善のポイントを医師が解説

逆流性食道炎を悪化させない寝る向きとは?生活改善のポイントを医師が解説|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

2025年6月18日

夜間、胸やけや喉のつかえを感じて眠れないことはありませんか?それは「逆流性食道炎」が原因かもしれません。特に寝る姿勢や生活習慣が症状を悪化させることもあり、放置すると日常生活の質を大きく下げてしまいます。

この記事では、逆流性食道炎を悪化させない寝方や生活改善のポイントを、消化器内科の医師がわかりやすく解説します。快適な睡眠と健康な毎日を取り戻すヒントを見つけましょう。

逆流性食道炎とは?原因と症状

逆流性食道炎とは、胃の内容物が食道へ逆流することで、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。胃酸が食道に触れることで、胸やけや喉の違和感、咳、呑酸(口の中が酸っぱく感じる)などの症状が起こります。

主な原因には以下のものがあります

    ・食道下部の括約筋の緩み(加齢や食生活に関連)
    ・食べ過ぎ・脂肪分の多い食事
    ・飲酒・喫煙習慣
    ・肥満や腹圧の上昇(妊娠や便秘など)
    ・就寝直前の食事

    症状は昼夜を問わず出ることがありますが、特に寝ているときは重力の影響が減少するため、胃酸が逆流しやすくなり、症状が悪化しやすくなります。初期段階では軽度の胸やけだけでも、放置すると食道炎が進行する恐れがあるため、早めの対処が重要です。

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      夜間に悪化する?逆流性食道炎と寝る姿勢の関係

      逆流性食道炎は、夜間に症状が悪化しやすい特徴があります。
      理由として、横になることで胃酸が逆流しやすくなるためです。通常、立ったり座っているときは重力によって胃の内容物は食道へ逆流しにくいはずですが、就寝時に横になることでこの重力の補助がなくなり、胃酸が食道に戻りやすくなります。

      また、寝ている間は唾液の分泌量が減るため、食道に逆流した胃酸を中和する力が弱くなります。さらに、就寝中は嚥下(つばを飲み込む)も減るため、胃酸が食道に長くとどまりやすく、粘膜への刺激が持続してしまいます。

      さらに、睡眠中に胃酸が食道に逆流していると、眠りが浅くなって睡眠の質も下がるという研究もあります。睡眠の質が悪いと、高血圧などの生活習慣病も悪化しやすいと考えられ、健康にも大きな影響が出ると推測されます。

      逆流性食道炎におすすめの寝る向きは?

      逆流性食道炎の症状をやわらげるために、「寝る向き」に気を付けることは非常に大切です。最も推奨される寝方は、「左側を下にして横向きに寝る」ことです。

      胃は体のやや左側に位置し、食べ物や胃液が溜まる場所(胃底部)は左側にあり、食道から胃のつなぎ目も少し左側を向いています。そのため、左側を下にすることで胃酸が自然に胃にたまり、食道への逆流を防ぎやすくなります。

      反対に「右向きで寝る」と胃の入り口が上になりやすく、胃酸が食道へ流れ込みやすくなります。仰向けも重力の影響が弱まり、胃酸の逆流を助長するため注意が必要です。

      【おすすめの寝る姿勢のまとめ】

      寝る向きおすすめ度理由
      左向き胃酸が食道に逆流しにくい
      仰向け胃酸が逆流しやすい体勢
      右向き×最も逆流しやすく、症状悪化の恐れ

      →寝る向きを工夫するだけで、夜間の胸やけや不快感が軽減されることがあります。

      ※胃カメラ検査のとき必ず左向きに横になって検査するのも、同じ理由です。
      ※一方心臓の負担的には右向きで横になった方がよいとの報告もあり、実は悩ましいです。

      食事のタイミングと内容に注意|就寝前に避けるべきこと

      逆流性食道炎の症状を悪化させないためには、「いつ・何を食べるか」も非常に重要です。特に就寝前の食事は、胃に内容物が残ったまま横になることで逆流を引き起こしやすくなります。

      食事のタイミング

      ・就寝の2〜3時間前までに食事を済ませる
       胃の中に食べ物が残っていると、横になった際に胃酸が逆流しやすくなります。

      避けたい食べ物

      ・脂肪分の多い食品
       揚げ物、バター、チーズなど

      ・刺激物
       唐辛子、にんにく、カレー

      ・酸性の強い食品
       柑橘類、トマト、酢の物

      ・炭酸飲料・アルコール
       ビール、ワイン、炭酸水など

      食後に避ける行動

      ・食後すぐに横になる
      ・ベルトや衣類でお腹を締め付ける
      ・激しい運動や入浴

      就寝前の過ごし方を見直すだけでも、逆流性食道炎の症状緩和につながります。

      日常生活でできる生活改善のポイント

      逆流性食道炎は、薬による治療だけでなく、日常生活の見直しによっても症状の軽減が期待できます。以下のような生活習慣の改善を心がけましょう。

      食事に関するポイント

      ・ゆっくりよく噛んで食べる
      ・一度に食べ過ぎない(腹八分目を意識)
      ・寝る前に飲食しない

      睡眠・姿勢の工夫

      ・飲食後は2-3時間横にならない
      ・左向きに寝る習慣をつける
      ・枕やベッドの角度を調整して少し胸や頭が高くなるようにする

      その他の生活習慣

      ・禁煙する
       たばこは胃酸の分泌を促進し、食道括約筋をゆるめるため逆流を助長します

      ・過度な飲酒を控える
       特に就寝前のアルコールは厳禁

      ・体重管理をする
       肥満は腹圧を高め、胃酸の逆流を招きやすくなります

      ・ストレスをためすぎない
       自律神経の乱れは胃の働きに影響を与えるため、リラックスする時間を設けましょう

      まとめ

      逆流性食道炎は生活習慣の見直しによって症状を大きく軽減できる病気です。特に「寝る姿勢」や「食事のタイミング・内容」といった日常の工夫が、夜間の不快な症状を抑えるカギとなります。

      ・左向きで寝ることで胃酸の逆流を防ぎやすい
      ・枕だけでなく、上半身全体を少し高くする工夫が効果的
      ・就寝前2〜3時間の食事は避け、脂肪分や刺激物を控える
      ・喫煙・飲酒・肥満などの生活習慣も逆流の要因となる

      こうした取り組みを実践することで、薬に頼りすぎずに症状の改善を目指せることもあります。もし対策を行っても症状が続くようであれば、早めに消化器内科を受診し、適切な治療を受けましょう。

      記事監修者

      院長 谷口 孝伸

      院長 谷口 孝伸

      日本内科学会 認定内科医 総合内科専門医
      日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
      日本消化器病学会 消化器病専門医
      日本肝臓学会 肝臓専門医

      弘前大学を卒業。立川の地で12年間、消化器内科医として研鑽を積み、甲府共立病院・がん研有明病院にて大腸カメラ、超音波内視鏡等の専門的な検査技術を習得。2024年8月、立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック開設。

      詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

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