2025年12月19日

餅は食べ方次第で消化の良い食材になる
餅の主成分は炭水化物であり、白米と同様に消化されやすい食材です。
しかし、餅特有の粘り気と食べ方によって消化の良し悪しが大きく変わります。
消化に良くなる条件
・よく噛んで食べる
・温かい状態で食べる
・少量ずつ食べる
・水分と一緒に食べる
消化に悪くなる条件
・丸飲みする
・冷たい状態で食べる
・大量に食べる
・油で揚げたり、油分の多い食べ方をする
つまり、餅そのものが消化に悪いわけではなく、食べ方や調理法によって消化の負担が変わります。
餅が「消化に良い」と言われる理由
餅が消化に良いと言われる理由は、その成分と構造にあります。
・主成分が消化されやすいデンプン
餅の主成分は炭水化物であり、特にもち米に含まれるアミロペクチンというデンプンで構成されています。
このアミロペクチンは消化酵素によって分解されやすく、エネルギーとして素早く吸収される特徴があります。
・食物繊維が少ない
餅には食物繊維がほとんど含まれていません。
食物繊維は腸の働きを活発にする一方で、消化に時間がかかる成分でもあります。
餅は食物繊維が少ないため、胃腸での滞在時間が短く、スムーズに消化されます。
・温めると消化されやすい
餅は温めることでデンプンが糊化し、さらに消化されやすい状態になります。
雑煮やおしるこなど、温かい料理で食べることで消化器官への負担が軽減されます。
このように成分的には消化に良い食材ですが、食べ方によっては胃腸に負担をかけることがあります。
餅が「消化に悪い」と言われる理由
餅が消化に悪いと言われる理由は、その特有の性質と食べ方に関係しています。
・粘りが強く胃の中で停滞しやすい
餅の最大の特徴である粘り気は、胃の中で塊のまま留まりやすい性質があります。
特によく噛まずに飲み込んだ場合、胃液と混ざりにくく、消化に時間がかかります。
この状態が続くと、胃もたれや膨満感の原因となります。
・冷めると固くなり消化しにくい
餅は冷めると固くなり、デンプンの一部が消化されにくい構造に変化します。
この状態を「デンプンの老化」と呼び、消化酵素が働きにくくなるため、胃腸への負担が増加します。
・一度に大量に食べやすい
餅は小さく見えても高カロリーで、知らず知らずのうちに食べ過ぎてしまいがちです。
角餅1個で約120キロカロリーあり、ごはん茶碗半分程度に相当します。
大量に摂取すると胃の消化能力を超えてしまい、消化不良を起こします。
・調理法によって消化が悪くなる
揚げ餅や油で焼いた餅は、油分が加わることで消化時間が大幅に延びます。
油分は胃での滞在時間を長くするため、胃もたれの原因となります。
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消化の良し悪しを左右する5つの条件
餅の消化の良し悪しは、以下の5つの条件によって大きく変わります。
1. 咀嚼回数
よく噛むことで餅が細かくなり、唾液と混ざることで消化が促進されます。
理想は1口30回以上噛むことです。丸飲みすると胃の中で塊のまま残り、消化不良の原因となります。
2. 温度
温かい餅は消化されやすく、冷たい餅は消化されにくくなります。
雑煮やおしるこなど、温かい料理で食べることをお勧めします。
冷めた餅を食べる場合は、必ず温め直してから食べましょう。
3. 摂取量
一度に食べる量は1〜2個までが目安です。
食べ過ぎは胃腸への負担を増やし、消化不良や胃もたれの原因となります。
4. 調理法
シンプルに焼く、煮る調理法が消化に良いです。
揚げる、油で炒めるなど油分を多く使う調理法は避けましょう。
5. 一緒に食べる食材
大根おろしなどの消化酵素を含む食材と一緒に食べると、消化を助けます。
また、汁物と一緒に食べることで水分補給もでき、胃での消化がスムーズになります。
こんな人は要注意!対象者別の食べ方
餅を食べる際に特に注意が必要な方と、それぞれに適した食べ方をご紹介します。
高齢者の方
加齢により唾液の分泌量が減少し、飲み込む力も弱くなります。
餅は小さく切り、十分に柔らかくしてから食べましょう。
必ず誰かと一緒に食べ、窒息事故を防ぐことが大切です。
雑煮など汁物にして、水分と一緒に摂取することをお勧めします。
胃腸が弱い方・胃炎や胃潰瘍の既往がある方
胃の働きが低下している方は、餅を少量ずつ、よく噛んで食べましょう。
一度に1個以下に抑え、温かい状態で食べることが重要です。
胃もたれを感じたら、無理に食べ続けないでください。
逆流性食道炎の方
餅は胃での滞在時間が長くなりやすいため、逆流のリスクが高まります。
食後すぐに横にならない、就寝3時間前は食べないなどの注意が必要です。
糖尿病の方
餅は血糖値を急激に上げやすい食品です。
食べる場合は野菜から先に食べ、餅は1個までに制限しましょう。
小さなお子様
咀嚼力が未発達なお子様には、餅を細かく切り、必ず大人が見守りながら食べさせてください。
3歳未満のお子様には与えないことが推奨されます。
消化に良い餅の食べ方
胃腸に負担をかけずに餅を楽しむための具体的な食べ方をご紹介します。
基本の食べ方
・1口30回以上よく噛む
・一度に1〜2個までにする
・温かい状態で食べる
・ゆっくり時間をかけて食べる
おすすめの調理法
餅を消化良く食べるには、以下の調理法がお勧めです。
1. 雑煮:温かい汁物で餅を柔らかくし、水分と一緒に摂取できます
2. おしるこ:温かく、餅が十分に柔らかくなります
3. きな粉餅:きな粉の食物繊維が適度に含まれ、栄養バランスが良くなります
4. 大根おろしと一緒に:大根に含まれる消化酵素が餅の消化を助けます
避けたい食べ方
・揚げ餅
・焼き餅(焦げた硬い部分)
・バターやチーズなど油分の多い食材との組み合わせ
・冷めた餅
食べるタイミング
朝食や昼食など、活動時間帯に食べることをお勧めします。
夕食や就寝前は消化に時間がかかるため避けましょう。
また、空腹時にいきなり餅を食べるのではなく、野菜やスープなどを先に食べてから餅を食べると、血糖値の急上昇を防げます。
よくある質問
Q:餅を食べて胃もたれした場合、どうすればよいですか?
A:まず安静にし、無理に食事を摂らないでください。水分を少しずつ補給し、体を温めましょう。消化を助けるために軽く体を動かすことも効果的です。症状が続く場合や腹痛が強い場合は、消化器内科を受診してください。
Q:餅は白米と比べて消化に良いですか?悪いですか?
A:成分的にはほぼ同じですが、餅の方が粘り気が強いため、よく噛まずに食べると消化に時間がかかります。一方、よく噛んで適量を食べれば、白米と同程度に消化されます。
Q:玄米餅は消化に良いですか?
A:玄米餅は食物繊維が豊富で栄養価は高いですが、消化には白餅より時間がかかります。胃腸が弱い方には白餅の方がお勧めです。
Q:餅を食べた後、どのくらいで消化されますか?
A:個人差がありますが、通常2〜4時間程度です。よく噛んで食べた場合は2〜3時間、丸飲みした場合は4時間以上かかることもあります。
Q:毎日餅を食べても大丈夫ですか?
A:適量であれば問題ありませんが、餅は高カロリーで栄養バランスが偏りやすいため、毎日ではなく週に数回程度にすることをお勧めします。バランスの良い食事を心がけましょう。