大腸カメラは何年おきに受けるべき?検査頻度の目安とポリープの関係|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

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大腸カメラは何年おきに受けるべき?検査頻度の目安とポリープの関係

大腸カメラは何年おきに受けるべき?検査頻度の目安とポリープの関係|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

2025年4月10日

大腸カメラ

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、大腸がんやポリープなどの病変を直接観察し、早期発見・早期治療を可能にする非常に有意義な検査です。しかし、「どのくらいの頻度で受ければよいのか」「ポリープが見つかったらどうすればよいのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。本記事では、大腸カメラを受けるべきタイミングや、検査間隔の目安について詳しく解説します。

大腸カメラの必要性とは?

なぜ検査を受けるべきなのか

大腸カメラは、体内の状態を直接観察できる検査であり、特に大腸がんの早期発見や未然似防ぐ早期治療において重要な役割を果たします。
大腸がんは初期にはほとんど自覚症状がなく、発見が遅れると治療の難易度が高まる病気です。大腸カメラでは、病変の有無を直接確認できるだけでなく、大腸がんの芽である大腸ポリープがあればその場で切除し、将来の大腸がんを未然に防ぐことが可能です。

大腸がんの現状と早期発見の重要性

大腸がんにかかる方は年々増加しており、現在がん死亡原因の上位を占めています。特に50歳以降の年代では発症リスクが高まり、早期発見が生存率に直結することが分かっています。早期の大腸がんは、内視鏡による簡単な治療で完治が可能ですが、進行してしまうと外科手術や抗がん剤治療が必要となり、身体への負担も大きくなります。そのため、自覚症状がなくても定期的に大腸カメラを受けることで、将来的なリスクを大幅に減らすことができます。

アメリカでは45歳頃にほぼ全ての国民に大腸カメラの無料券が配られ、うち60%ほどの国民が45歳で一度は大腸カメラを経験するそうです。その結果か、欧米では大腸がんにかかる方は年々減ってきています。それでも45歳までに進行した大腸がんが見つかる方もいるため、無料券を40歳配布にすべきではないかという意見もあるようです。

一方、日本ではエビデンスが揃わないからという理由で国から大腸カメラを国民に勧奨するようなことはされず、45歳頃までに一度はやるべきという事実を知っていらっしゃるのは健康に対してアンテナを張っている一部の人だけ、多くの方は50-60歳まで大腸カメラを受けたことがなく、結果、60-70代で大腸がんを発症してしまいます。欧米ではどんどん減っている大腸がんが、日本ではどんどん増えている理由は、大腸カメラを受ける方の少なさによるところが大きいと考えています。

一般的な検査頻度は何年おき?

何歳から何年おき?(40代、50代、60代の検査方針)

このご質問は、患者さまから最もよくされる質問になります。ただ、正直なところまだ答えが定まりきっておらず、国によって、医師によって言うことがバラバラなのが現状です。

まず簡単にまとめると、「40歳で1回、その後は医師の指示通り(1~5年おき)」と考えてください。

30代ではリスクが比較的低いため、便潜血検査を年1回行い、異常があれば内視鏡検査を受ける形でもよいでしょう。ただし、大腸がんのご親戚がいる方や、気になる症状によっては30代から大腸カメラを勧められる場合もあります。会社の健診の便潜血検査は35歳から行われることが多いですが、もし可能なら30歳から受けて欲しいところです。

40代で大腸カメラを受けるかどうかは一つの分岐点です。なぜなら50-60代で若くして大腸がんになる方は、40代の時点で、すでに大腸がんの芽である大腸ポリープを認めることが多いからです。ですが、ほとんどの方はその事実を知らないため、ちょうど仕事や家庭や育児でお忙しい御年齢なこともあり、40代で大腸カメラをきちんと受ける方は少ないのが現状です。40歳で1回大腸カメラを受け、その結果に応じて1~5年ごとの大腸カメラを受けましょう。

50代以降になると大腸がんのリスクが大きく高まり、全員が少なくとも5年に1回の大腸カメラが推奨されます。過去に大腸ポリープがあった方、大腸がんや大腸ポリープのご親戚がいる方は、2-3年おきを目安にしましょう。

高齢者の場合の注意点

高齢者にとって大腸カメラは、体への負担や鎮静剤の使用が気になる検査かもしれません。しかし、年齢とともに大腸がんのリスクは高まるため、検査の必要性はむしろ増していくというジレンマがあります。
75歳以上でも、健康状態が良好であれば検査は十分に可能です。ただし、高齢者は持病や服用中の薬があることが多いため、事前にしっかりと医師による評価が必要です。検査準備(下剤など)についても、体調に合わせた調整が可能ですので、不安な点があれば遠慮なく医療機関にご相談ください。当院では安心して検査を受けるためのサポート体制も整っています。

大腸カメラの適切な頻度は?

大腸がんや大腸ポリープのご親戚がいる場合

大腸がんのリスクは遺伝的要素によっても影響を受けます。
家族に大腸がんや大腸ポリープと言われた方がいる場合、特に何人かそのようなご親戚がいる場合は、リスクが高まるとされています。このような場合、必ず30代から便潜血検査、40歳から大腸カメラ検査を定期的に受けるようにしましょう。
一般的には、家族に大腸がんの患者がいる場合、30代で一度、40歳を過ぎたら3-5年ごとに検査を受けるのが目安となりますが、医師と相談し、適切な検査頻度を決めることが大切です。早期に大腸ポリープを発見することで、将来の大腸がんを未然に防ぐことができます。

過去に大腸ポリープやその他の大腸の病気があった場合

過去に大腸カメラで大腸ポリープや大腸の病気が見つかった場合、その後の検査頻度はオーダーメイドに変わってきます。特に大腸ポリープが見つかった場合は、再発の可能性や、前回見えなかった小さなポリープが次回は見つかる可能性があり、1-3年後に再度大腸カメラを受ける必要があります。
細かい話ですが大腸ポリープにも種類がいくつかあり、種類によっても注意度が変わってきます。

腺腫(adenoma)というポリープは、将来の大腸がんの芽とされ、大変重要です。必ず切除すべきですし、腺腫をすべて切除していれば大腸がんの8-9割は未然に回避できると報告されています。
現在の日本の学会では小さな腺腫が10個以上あれば1年後、悪性に近い腺腫が1つ以上あれば1年後、小さな腺腫9個までなら3-5年後という推奨になっています。アメリカの学会ではポリープを取り切ったら10年やらなくてよいことになっていますが、その10年の間にある程度大腸がんが発生してしまう人がいても、全体として死亡者が減るならある程度の犠牲は仕方なしという考えが含まれています。日本もアメリカでもそうですが、個人個人が絶対に大腸がんにならないように、という設計ではなく、国としての医療費抑制、大腸カメラのキャパシティの問題なども加味された設定なので、少し長めに設定されていると考えてよいです。

過形成性ポリープ(Hyperplastic Polyp)というのが次に多い良性ポリープです。これは大抵は切除しなくてよい完全良性のポリープですが、5mm以上の場合は切除してみたら実はポリープだったということがあるので、切除したほうがよいです。また大腸の奥のほうにある過形成性ポリープの仲間(SSL、SSA/P)はがんになるリスクがあるので切除推奨です。さらに、2-3mmの完全良性の過形成性ポリープでも、20個以上ある場合はSPS(Serrated Polyposis Syndrome)と呼ばれ、大腸がんの高リスクなので、可能なら2-3年ごとに大腸カメラを受けたいところです。

以上のように、ポリープの種類によっても注意度は大きく変わるため、それらも加味して医師は患者さまおひとりおひとりに合わせた次回検査の目安をお伝えしています。

炎症性腸疾患がある場合

炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)を患っている場合、大腸がんのリスクが高くなるため、やはり定期的な大腸カメラの受診が推奨されます。これらの疾患は、腸内での炎症が慢性的に続くことで、大腸がんのリスクを高めることが知られています。炎症が持続すると、腸内の細胞が異常をきたしやすくなり、がん化する可能性があるのです。そのため、炎症性腸疾患がある患者さんは、通常の検査頻度よりも早い間隔で、大腸カメラを受けることが必要です。医師と相談し、適切な検査タイミングを決めましょう。医師によって考え方は違いますが、1-2年ごとの大腸カメラをおすすめされることが多いです。特に炎症性腸疾患を発症してから10年以上経っている方はリスクありとされ、1年後との大腸カメラがおすすめされています。

大腸がん治療歴がある場合

大腸がんを治療したことがある場合、再発のリスクを早期に発見するために定期的な大腸カメラが必須となります。がんの治療後は、一定期間内に再発が起こる可能性があるため、特に注意が必要です。
治療後の最初の5年は、毎年の検査が推奨されることが多く、その後も2-3年ごとの定期的な検査を続けることが重要です。再発が発見された場合、早期に対処することで、治療の選択肢が広がります。大腸がんの治療歴がある方は、主治医と相談して、最適な検査頻度を決定し、再発予防に努めましょう。

症状がない場合でも受けるべき?

無症状でも受診が推奨される理由

大腸がんに限らずですが「特に症状もないから大丈夫ですよね?」というご質問は、かなり多いです。ですが、ほとんどのがんにおいて、その答えはNOです。症状が出てからがんに気付いて助かる可能性は低いことがほとんどです。

大腸がんも初期段階ではほとんど症状が現れないため、無症状のうちから定期的な検査をして大腸がんを早期のうちに見つけたり、大腸がんの芽である大腸ポリープを切除して大腸がんを予防することが非常に重要です。

便に血が混じる、腹痛、下痢や便秘の異常が出るころには、病気がかなり進行している可能性が高いです。そのため、症状がない=大丈夫ではありません。特に40歳を過ぎたら、無症状でも一度大腸カメラを受けましょう。健康診断の便潜血検査は死亡者を減らすために設計された検査で、大きな手術や抗がん剤治療も含めて命が助かればいいというのならよいですが、大きな手術や抗がん剤とはほど遠い小さいポリープの段階で治せた方がよいですよね。便潜血検査ではカバーしきれない部分を補完する意味でも、大腸カメラは非常に有効です。大腸がんに限らずですが、未来の自分を助ける気持ちで、予防医療の一環として、症状がないうちからの検査を習慣化しましょう。

自覚症状が出る頃には手遅れなケースも

大腸がんは「沈黙のがん」と呼ばれるほど、進行するまで自覚症状が現れにくい病気です。症状が現れたときにはすでに進行しており、手術や抗がん剤などの大がかりな治療が必要となるケースっが多いです。例えば、血便や体重減少、腹部のしこりなどはすでに病状が進んでいるサインです。初期であれば内視鏡による切除で済んだ病変も、発見が遅れることで治療の負担が大きくなってしまいます。そうしたリスクを防ぐためにも、症状がないうちから定期的に大腸カメラを受けておくことが、命を守る行動につながります。

受けたくない気持ちへの対処法(苦痛・不安への配慮)

鎮静剤の利用

大腸カメラと聞くと、「痛そう」「苦しそう」というイメージを持たれる方も多いかと思います。そうした不安を和らげる方法の一つが、鎮静剤(眠り薬)の使用です。鎮静剤を使用することで、ウトウトと眠ったような状態になり、検査中の不快感や緊張を大きく軽減することができます。当院では、患者さん一人ひとりの体調や不安の程度に合わせて鎮静の深さを選べる体制を整えています。検査に対する不安がある方は、遠慮なくご相談ください。安心して検査を受けていただけるよう、細やかな配慮を行っています。

痛み・恥ずかしさへの対応

大腸カメラに対して「痛みが心配」「恥ずかしい」という気持ちは、誰にでもある自然な感情です。痛みに関しては、内視鏡の技術が進歩し、細く柔軟なカメラの導入により、体への負担が最小限に抑えられるようになっています。また、経験豊富な医師が丁寧に検査を行うことで、不快感をできる限り軽減します。恥ずかしさに対しても、プライバシーを重視した配慮を徹底しており、専用の検査着や個室対応など、リラックスできる環境を整えています。少しでも不安があれば、事前に相談していただくことで安心して検査を受けることができます。

まとめ

大腸カメラは、大腸がんをはじめとする消化器疾患の早期発見と予防に欠かせない検査です。特に自覚症状のないうちに検査を受けることが、未来の皆さまの命を守る行動につながります。検査の開始時期や頻度は、年齢や家族歴、既往症の有無によって異なりますが、40代からの定期的な検査が推奨されます。ポリープが見つかった場合や、大腸がんの治療歴がある方は、より短い間隔でのフォローが必要です。また、不安や痛みに対しても、鎮静剤の使用やプライバシーへの配慮により、安心して検査を受けられる環境が整っています。当院では、一人ひとりに寄り添った検査とケアを心がけております。迷いや不安がある方も、ぜひお気軽にご相談ください。

患者さまからよくあるご質問

Q.便潜血検査(検便)を毎年受けていれば大丈夫ですか?
A.便潜血検査を毎年受けていたのに、大きな大腸がんが見つかり、「毎年受けていたのに・・・」ということは何度も経験があります。便潜血検査の限界を感じます。ただ、ほとんどの方は便潜血検査によって大腸がんの芽である大腸ポリープが見つかって切除されたり、大腸がんが見つかってもかなり早期の段階だったりするので、便潜血検査を毎年受けるのは絶対おすすめではあります。また、大腸カメラはどんなに上手な先生でもポリープを見逃してしまうと言われています。大腸カメラで問題なしだった翌年に大腸がんが発見されることが稀にあります。そのようなとき翌年に便潜血検査をやっておくと、稀ですが見逃しに気付くことができるという役割もあります。
まとめると、おすすめは「毎年の便潜血検査+1-5年おきの大腸カメラ」です。

Q.CTで大腸を観察できると聞きました
A. CTC(CT Colonography)と呼ばれます。下剤を飲んで大腸を綺麗にした後、お尻からチューブを直腸に入れてガスで腸を張ってCTを撮影するものです。CTCで、かなり小さいポリープを指摘できるので、精度は悪くありません。ただ、平べったい悪性ポリープはどうしても見えにくかったり、大腸が動いている瞬間にCTをとるとまるでそこに大きな大腸がんがあるように見えて、大腸カメラ検査をやったら結局何もなかったということも少なくありません。どうしても被曝してしまうことや、もしポリープが指摘されたら結局後日大腸カメラを受けなくてはいけないなど、まだまだデメリットも多いのが現状です。
大腸カメラの下剤がどうしても無理な方、大腸カメラをお尻から入れられることがどうしても耐えられない方、被曝してもよい方(妊娠可能年齢の女性以外、強いがん家系の方以外)、大腸カメラのお身体への負担が大きい方(80歳以上、かなり心臓が悪い方など)はCTCもありかと思います。

記事監修者

院長 谷口 孝伸

院長 谷口 孝伸

日本内科学会 認定内科医 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

弘前大学を卒業。立川の地で12年間、消化器内科医として研鑽を積み、甲府共立病院・がん研有明病院にて大腸カメラ、超音波内視鏡等の専門的な検査技術を習得。2024年8月、立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

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