膵臓がんの検査方法を解説|早期発見のために知っておくべきこと|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

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膵臓がんの検査方法を解説|早期発見のために知っておくべきこと

膵臓がんの検査方法を解説|早期発見のために知っておくべきこと|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

2025年3月05日

膵臓がんは、早期発見が非常に難しいがんです。症状が現れにくく、気づいたときには進行していて手遅れな方がほとんどです。しかし、適切な検査を受けることで、早期発見・早期治療に繋げられる可能性があります。

この記事では、膵臓がんの検査方法について、詳しく解説します。早期発見のため、ぜひ参考にしてください。

膵臓がんとは?

膵臓は、胃の裏側にある長さ15cmほどの臓器で、消化酵素と血糖値のホルモンを分泌する役割を担っています。膵臓がんは、この膵臓にできる悪性腫瘍です。

膵臓がんの発生要因は、まだ完全にはわかっていませんが、喫煙、糖尿病、慢性膵炎、遺伝などがリスクを高めることが知られています。特に、50歳以上の方、喫煙者、糖尿病の方、膵臓がんの家族歴がある方は、注意が必要です。

初期の膵臓がんは、ほとんど症状が現れないと考えてよいです。進行すると、腹痛、食欲不振、体重減少、黄疸などの症状が現れることがあり、これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。

膵臓がんは、進行が早いがんですが、早期発見・早期治療によって、生存率の向上が期待できます。そのためには、定期的な検査と、リスク要因の把握が大切です。

膵臓がんの検査が必要な理由

膵臓がんは、早期発見が非常に難しいがんです。その理由として、以下の点が挙げられます。

・初期症状が現れにくい
膵臓は体の奥深くに位置するため、がんが小さいうちは自覚症状がほとんどありません。

・進行が早い
膵臓がんは進行が早く、発見されたときにはすでに進行しているケースがほとんどです。
Stage0の期間は7年ほどありますが診断が凄く難しいです。その後、Stage1から4に進むまでが大変速く、高確率で助かる膵臓がんはStage1の途中までなので、やはり膵臓がんの早期診断は大変難しいのです。

・有効な腫瘍マーカーがない
膵臓がんの腫瘍マーカーはいくつかありますが、早期発見に有効なものは限られています。
もし新しい検査で早期診断ができますよ、という商品があってもそもそもその商品の成績を構築するときに、診断すべきStage0やStage1aという助かる膵臓がんがサンプルに含まれていないことが多いため、正直今後にもあまり期待できないと考えています。

これらの理由から、膵臓がんの早期発見には、わずかな変化も見逃さないように慎重で定期的な検査が非常に重要です。

特に、以下に当てはまる方は、積極的に検査を受けることをお勧めします。
・50歳以上
・喫煙者
・糖尿病の方
・慢性膵炎の方
・膵のう胞がある方
・膵臓がんの家族歴がある方

早期発見できると、恐ろしい膵臓がんでも根治的な治療が可能になる場合があります。膵臓がんのための定期検査は、決して無駄ではありません。ご自身の健康を守るために、定期的な検査を心がけましょう。

膵臓がんの主な検査方法

膵臓がんの検査方法は、大きく分けて以下のものがあります。

画像検査

・腹部超音波検査

腹部に超音波を当て、膵臓を観察します。しかし、膵臓全体をしっかり見切れる確率は半分程度で、腹部エコーだけで早期の膵臓がんの発見は難しいかもと考えられています。それでもいつでも簡単に多くの方が受けられる検査なので、膵臓がん早期発見の足がかりとして、ぜひ積極的に受けてほしい検査です。
また、ミルクティーエコーという水分を飲んでエコーを受ける方法を使えばかなり性能が上がると言われており、当院でも積極的に行っています。
→「腹部超音波検査」について詳しく
 
・CT検査
X線を使って体の断面を撮影し、膵臓の様子を詳しく調べます。造影剤を使ったCTでは、小さな膵臓がんを発見できる可能性もあります。
あまり知られていませんが、Stage0の膵臓がんを見つけ出す力もあります。ただ、定期的にCTを受けるとなると、造影剤の負担や、被曝の蓄積が問題になるので、ここぞというときだけに使うことが多いです。
 
・MRI検査=MRCP検査
磁気を使って体の断面を撮影し、膵臓の様子を詳しく調べます。CT検査と同様に、小さな膵臓がんも発見できる可能性があります。
よく聞かれる質問で、膵臓はCTとMRIどちらがよくみえるんですか、というのがあります。答えはなく、それぞれに一長一短があり、その時々で上手につかいわけているというのが答えです。
ただ、MRIは被曝がなく、飲む造影剤はありますが、注射の造影剤がないため、膵臓がんのための定期検査としては、デメリットが少ないという点でCTより優位で、MRIは膵臓の検査の主軸になっています。
唯一、閉所恐怖症の方は二度とMRIは受けられないという方がいらっしゃいます。膵臓にとっては欠かせない検査になるので、MRI検査の始まりから終わりまで目隠しをして音楽を聞いてなんとか頑張れたらよいのですが、どうしても難しい場合はCTや後述のEUSが頼りになります。
 
・超音波内視鏡検査(EUS)=膵臓カメラ
先端に超音波(エコー)のついた内視鏡を胃や十二指腸の中に入れて、内側から膵臓を観察します。そもそもが膵臓がん早期発見のために開発された機会で、膵臓がんの診断確度が高い検査です。膵臓がんの早期診断には欠かせない検査と言えます。
ただし、その機械があまりにも高額で、保険点数(その検査を提供することで国から支払れる報酬)があまりにも低額なので、お金持ちな病院か、採算を度外視してでもこの検査を行おうというクリニックでしか提供されていません。
そのため、きちんとしたレベルでEUSが行える医師も少なく、なおさら世に普及しにくい現状があります。

血液検査

・腫瘍マーカー検査
血液中の特定の物質(腫瘍マーカー)の値を測定し、膵臓がんの可能性を調べます。CA19-9、DUPAN2、SPAN1などが有名です。最近はアポリポ蛋白というマーカーも出てきました。
しかし、個人的には前述の理由で膵臓がんの腫瘍マーカーは早期発見には有効ではないと考えています。

病理検査

・EUSガイド下生検(EUS-FNA)
EUS(膵臓カメラ)で観察しながら、針で膵臓の組織を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。確定診断に有用です。原則1泊入院が必要です。

・SPACE(頻回膵液細胞診)
口からのカメラで、膵管に細い管を通し、鼻まで通した管から膵液を半日〜1日かけて何度も検査に出すものです。針で刺すほどの大きさがない、Stage0膵臓がんの診断にはこれしかありません。5日ほどの入院が必要です。

・十二指腸液細胞診
十二指腸に流れ出た膵液をカメラで回収して、顕微鏡の検査を行うものです。リスクがほとんどないので、入院せず外来で検査可能です。
 
これらの検査を組み合わせることで、膵臓がんの早期発見・早期治療に繋げることができます。

早期発見のためにできること

膵臓がんの早期発見のためには、以下のことが大切です。

定期的な検査を受ける

特に、50歳以上の方、喫煙者、糖尿病の方、慢性膵炎の方、膵臓がんの家族歴がある方は、定期的な検査を受けることをお勧めします。
検査方法については、医師と相談し、ご自身のリスクに合わせて選択しましょう。

リスクを管理する

・禁煙
喫煙は膵臓がんの大きなリスクです。禁煙することで、リスクを下げることができます。

・糖尿病の管理
糖尿病は膵臓がんのリスクを高めます。血糖コントロールを適切に行いましょう。

・バランスの取れた食生活
野菜や果物を積極的に摂取し、バランスの取れた食生活を心がけましょう。

・適度な運動
適度な運動は、肥満や糖尿病の予防に繋がります。

症状に注意する

腹痛、食欲不振、体重減少、黄疸などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

早期発見・早期治療によって、膵臓がんの生存率向上につながります。日頃から健康的な生活習慣を心がけ、定期的な検査を受けるようにしましょう。

膵臓がんについてよくある質問

A. 膵臓がんは、初期にはほとんど症状が現れません。進行すると、腹痛、食欲不振、体重減少、黄疸などの症状が現れることがあります。

A. 50歳以上の方、喫煙者、糖尿病の方、慢性膵炎の方、膵のう胞がある方、膵臓がんの家族歴がある方は、リスクが高いと言われています。

A. 腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査(EUS、膵臓カメラ)などの画像検査や、血液検査、病理検査などがあります。

まとめ

膵臓がんは、早期発見が難しいがんですが、適切な検査と生活習慣の見直しによって、早期発見・早期治療が可能です。
特に、50歳以上の方、喫煙者、糖尿病の方、慢性膵炎の方、膵のう胞がある方、膵臓がんの家族歴がある方は、定期的な検査を受けることをお勧めします。

当院では、腹部超音波検査や提携する画像センターでのMRIなど、専門的な検査を行っております。ご自身の健康に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
早期発見・早期治療によって、膵臓がんの生存率向上につながります。日頃から健康的な生活習慣を心がけ、定期的な検査を受けるようにしましょう。

記事監修者

院長 谷口 孝伸

院長 谷口 孝伸

日本内科学会 認定内科医 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

弘前大学を卒業。立川の地で12年間、消化器内科医として研鑽を積み、甲府共立病院・がん研有明病院にて大腸カメラ、超音波内視鏡等の専門的な検査技術を習得。2024年8月、立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

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