大腸がん
大腸がん
大腸がんは日本国内で未だに増加傾向にあるがんで、高齢者に多く見られますが、40〜50代で大腸がんが発見される方も、内視鏡(大腸カメラ検査など)を日常的に行っている現場ではよく見かけます。
大腸がんは簡単に治せる初期のうちは症状がないため、症状を待っていると手遅れになってしまうことが多いです。
また、多くの方が受けている便潜血検査では、大きなポリープになるまで発見ができないことが多く、小さな大腸がんでさえ見逃してしまうこともあります。
ですので、この記事の結論は、大腸がんで後悔したくない方は、便潜血検査だけでなく、定期的な大腸カメラ検査もがんばりましょう、ということです。
簡単に治せる初期の大腸がんでは、症状など現れません。便潜血検査でひっかかるか、定期的な大腸カメラ検査で偶然見つけるかです。
大きくなった大腸がんでも、症状はあっても最初は軽く、見過ごされがちです。代表的な症状には以下のようなものがあります:
これらの症状が見られた場合は、大きな大腸がんの可能性がありえますので、早めにご相談ください。
進行した大腸がんは、大腸の壁を越えて周りの臓器やリンパ節、さらに遠くの臓器(肝臓、肺など)に転移していきます。そうなると、もう完治は望めず、手術や抗がん剤でいかに数ヶ月でも余命を延ばすかという事態になってしまいます。特に腸閉塞や腸穿孔、出血などがあると、残った時間もつらい時間が続くことになります。
そこまで手遅れな大腸がんにならず、なんとか完治が望める大腸がんでも、できるだけ早いうち・小さいうちに見つけることで、治療の負担が全然違ってきます。
例えば大腸がんになる手前の大腸ポリープで見つけられれば、普段の大腸カメラ検査の途中で、眠っているうちに簡単に安全に切除できます。
早期の大腸がんでも、2泊3日程度の入院は必要になることもありますが、基本的に大腸カメラ検査で取り切れるため、大きな外科手術や抗がん剤を要しません。
ある程度の大きさの大腸がんになると、1週間以上の入院を伴う外科手術や、場合によっては手術のあと抗がん剤を数ヶ月使用することもあります。
以上の様に、手遅れな大腸がんさえ防いで、大腸がんによる死亡だけを回避しようとするよりも、少しでも早い段階で簡単に対処するのが最も正解なのですね。
ではどうすれば、大腸がんをより早期に発見して、簡単な治療で済ませることができるのか。その具体的な方策を以下でご紹介していきます。
大腸がんは食生活や生活習慣の影響を受けやすい疾患です。特に欧米型の高脂肪・繊維不足の食事、運動不足、喫煙、飲酒などがリスク要因とされています。また、家族に大腸がんの方いらっしゃる場合、リスクが高まります。
基本的にリスクを減らす行為をすることなので繰り返しになりますが
根本的で効果的な大腸がんへの対策は、定期的な検査です。特に便潜血検査と大腸内視鏡検査の2つが重要ですが、案外この2つの使い分けや認識、受けるべき頻度について、間違った認識が広がっています。
便潜血検査は、便に微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。これは大腸がんやポリープからの出血を早期に発見するために有効です。
一時的な切れ痔や腸炎などによるわずかな出血を拾ってしまい、便潜血検査が陽性でも、大腸がんもポリープも見つからないこともよくあります。そのため、オオカミ少年の寓話のように、便潜血陽性です!と結果が出ても、どうせまた切れ痔かなにかだろうといって、信じないで大腸カメラ検査を受けない方が案外多いのですね。そして、実は今回の便潜血検査陽性は、本物の大腸がんだった(本当に狼が来た)となって、信じて行動しておけばよかったとなってしまいます。便潜血検査陽性とオオカミ少年はよくにています。便潜血陽性です!と言われたら、どうせ大腸がんではないでしょうと思いながらも、毎回信じて大腸カメラ検査を受ける必要があるのです。
逆に、本来大腸カメラ検査の最中に簡単に切除できるはずの10mm以下の小さい大腸ポリープ(≒大腸がんの芽)は、便潜血検査であまり引っかけられないという報告もあります。さらには、大腸がんがあっても、一定の確率で見逃してしまうという報告もあります。
古くからその能力(大腸がんで亡くなる方を減らす能力)が証明されてきた便潜血検査ですが、以上のような弱点を持っているのですね。
まとめると、「便潜血検査陽性と出たらとにかく信じて大腸カメラ検査を受けましょう」「便潜血検査が陰性でも、大腸ポリープや大腸がんがある可能性がまあまああります。便潜血検査だけでなく、大腸カメラ検査による大腸がん検診も組み合わせて受けましょう。」ということです。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は、内視鏡を肛門からするすると挿入して、大腸の内部を直接観察する検査です。この検査では、ポリープや小さな大腸がんを早期に発見し、さらにその場で切除することが可能です。
便潜血検査で大腸がんで死亡する人の数は一定数減らせたのですが、100%の力はありません。政府は大腸がんで死なない人の数を減らしたいのだと思いますが、私たち個人としては死なないという目標はもちろん、それに加え、もし大腸がんが見つかったとしても、できるだけ簡単な治療(安くて、短期間で、体に負担のない治療)でことを終えたい、そう思いますよね。
そうなってくると、便潜血検査だけでは不十分だという流れです。便潜血検査だけでなく、定期的な大腸カメラ検査によって、より小さい大腸ポリープのうちに簡単に切除することで、将来の大腸がん発生の芽を摘む行為で、大腸がんの80-90%が予防できると報告されています。
大腸がんの広がりや転移を評価するために、CT検査やMRI検査が用いられることがあります。これにより、腫瘍の正確な位置や大きさ、他の臓器への影響を把握することができます。進行した大腸がんのときに用いられ、早期発見には一切役に立ちません。
PET検査は、がん細胞の活動性を画像化することで全身のがんを検出する方法です。他の検査で診断が困難な場合に用いられることがあります。これもある程度の大きさの大腸がんでないと検出されず、目指すべき早期発見には寄与しません。
腫瘍マーカー検査は、血液中の特定の物質を測定することで、がんの存在や治療効果を評価するために用いられます。大腸がんでは、CEA(癌胎児性抗原)やCA19-9がよく用いられます。これも目指すべき早期発見には寄与しません。
大腸がんで悲しまないための対策は、便潜血検査と大腸カメラ検査です。特に現在便潜血検査自体は受けている方が多いのですが、それに加えて入院や手術で治すことも回避することを考えると、定期的な大腸カメラ検査を受ける必要があります。
大腸カメラ検査は多くの方にとってハードルが高い検査です。下剤を飲んで大腸を綺麗にする必要があり、おしりのなかに何かを突っ込まれ、準備から検査終了まで含めると1日ほどの時間を取られます。そのハードルの高さが多くの方が気軽に大腸カメラ検査を受けて、大腸がんで悲しむ人が減る未来への道筋を妨げています。
東京都立川市にある当院では、そんな実情を最大の課題と考え、数々の大腸カメラ検査に対する障壁を除去する施策を実行しております。
大腸がんは早期発見・早期治療が鍵です。定期的な検査を受けることで、安心して健康な生活を送ることができます。定期的に受ける大腸カメラ検査は、少しでも負担が少ないことが重要と考えています。直接ご予約頂いても、まずはご相談からでも、ぜひ当院をお使いください。
過去の大腸カメラはかなりの苦痛を伴うこともありました。現在は内視鏡機器の発達や、術者の挿入法の進歩、そして鎮静剤(眠り薬)の使用などが普及し、かなり楽になりました。
色々な議論がありますが、35歳以降は毎年便潜血検査を。40歳以降はポリープの多さによりますが、最低でも5年に一度大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
バランスの取れた食事(高繊維、低脂肪)、定期的な運動、禁煙、節度ある飲酒が大腸がんのリスクを減らすために有効です。
大腸がんは早期発見が非常に重要な疾患です。定期的な便潜血検査と大腸内視鏡検査を受けることで、早期に発見し、適切な治療を行うことが可能です。リスク要因を理解し、予防策を講じることで、大腸がんのリスクを大幅に減らすことができます。ぜひ、当院の大腸カメラ検査で、未来のあなたを守る第一歩を踏み出しましょう。
院長 谷口 孝伸
日本内科学会 認定内科医 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医
弘前大学を卒業。立川の地で12年間、消化器内科医として研鑽を積み、甲府共立病院・がん研有明病院にて大腸カメラ、超音波内視鏡等の専門的な検査技術を習得。2024年8月、立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック開設。
詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。
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