JDDW2024で学会発表してきました|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

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JDDW2024で学会発表してきました

JDDW2024で学会発表してきました|立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック

2024年11月07日

立川高島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック院長の谷口です。
本日は日記的な内容ですが、おゆるしください。

11月2日、臨時休診日をいただいて、JDDW2024という消化器内科医にとっては最大の国内学会で発表をして参りました。少し専門的な内容になりますが、日記的に残します。

当院で診断したStage0膵癌14例における診断契機の検討

発表の内容は、Stage0の膵臓がん(=早期膵臓がん=助かる膵臓がん)が、一体どのようなきっかけで診断にたどり着けるのか集計しましたというものです。

膵臓がんはご存じの通り最も予後不良ながんですが、日本でも世界でも増加傾向にあり、2023年にはついに日本のがん死亡数で胃がんを抜いて第3位となりました。アメリカでは数年前からすでに3位で、2030年には2位になるとの予想もあります。

そんな膵臓がんですが、Stage0(目に見えない程の大きさ)とStage1A(10mm以下)であれば、他のがんと同じように手術で助かることがわかっています。

ただし、その診断にはいくつもの壁があり、世界的な大きな課題となっております。

広島県尾道市の尾道プロジェクトというプロジェクトが最も有名な膵臓がん早期診断のプロジェクトで、14年間で32例のStage0膵臓がんが治療されています。最も有名なそのプロジェクトでさえ、1年に2-3例ほどのStage0膵臓がんの診断しかされていない点で、その難しさがおわかりになるかと思います。

私ががん研有明病院から立川相互病院に戻り、膵臓がん早期診断に打ち込ませて頂けた4年間で14例のStage0膵臓がんを診断した内容を、どういう形でか全国の先生方にも情報共有できたら、と今回発表させて頂いた次第です。

詳細はまたいつか膵臓がん早期診断の記事として投稿させて頂けたらと思いますが、概要だけお伝えすると、Stage0膵臓がん=助かる膵臓がんの診断のきっかけは、「CTやMRI検査を膵臓がん早期診断に精通した医師の目に入れること」であるという結論です。

多くの方は、検査を受ける受けないで見つかる見つからないが決定されるとお考えで、「何年おきに何を受けていれば助かりますか」というような疑問を投げかけられますが、検査も大事ですが、その検査画像を読む医師によって運命が左右されるかもしれませんよという投げかけです。

少しでも膵臓がん早期診断の見識のある医師が増えることで、助かる段階で膵臓がんを診断できる頻度が増えるのはないでしょうかというメッセージを込めました。

発表当日は名古屋大学の川嶋先生というご高名な先生が座長で私のお話を聞いてくださり、少し専門的なお話になりますが、「限局性膵萎縮の症例にSPACEを行ってもそこまで陽性的中率が高くない印象ですがどうですか」とご質問をくださいました。

それで気がついたのですが、立川相互病院で活動した4年間で、SPACEを12例ほど行っており、そのうち外れた(結果膵臓がんではなかった)のは3例ほどで、陽性的中率は75%とかなり高いものとなっています。

理由としては、立川相互病院は大学病院のように大きな病院ではないので、数多くのSPACEという検査が行えません。ですので、かなり怪しい!という段階になってからSPACEを行っていたことが関係あったかと思います。

また、膵臓がん早期診断に熱心な施設では、多くの早期膵臓がんを手術して、実際手術後はまだ膵臓がんになっていない段階でした、という症例も多いのですが、立川相互病院で手術された早期膵臓がんのうち、手術してみたらまだ膵臓がん一歩手前でしたという症例は2例にとどまり、手術された症例の9割ほどは実際早期膵臓がんでした。

私が立川相互病院で4年間専念させて頂いた、膵臓がん早期診断の結果は、SPACEの陽性率の高さ、手術の陽性率の高さという点でもよい結果だったのかもしれない、と座長の川嶋先生のお言葉で気づくことができました。

今後はクリニックから、膵臓がん早期診断にもっと力を入れて、多くの患者さまが手遅れになる前に診断・治療にたどり着けて、膵臓がんで悲しむ方(ご本人・ご家族)が減る未来を目指せたらと思います。

消化器内科関連の書籍、内視鏡関連の商品

肝生検ガイダンス・・・肝生検は大出血などを起こすことがあるため、どうしても必要なときだけ行う風潮があり、そのため若手の頃は経験する機会が少なく、その教えも指導医の先生によって仰ることが違うことがありました。今回日本肝臓学会がそのガイダンスを発刊してくださったとのことで、必読と思います。クリニックで肝生検を行うことは今後ありませんが。

IPMNガイドライン2024・・・併存膵癌を考慮したサーベイランス方法の変化があったのでしょうか。クリニックの運営が落ち着いてきたらぜひ拝読したいです。

炎症性腸疾患関連腫瘍診療ガイドライン、遺伝性大腸癌診療ガイドライン・・・消化器内科医でもこの2点については疎いことが多いです。今回それぞれのガイドラインが発刊されたとのことで、これもいずれ必読と思います。

便失禁診療ガイドライン・・・便失禁はかなり高齢になってからのお悩みかと考えておりましたが、下痢がちな方などで、必ずしも高齢でなくても便失禁に悩まれている方が少なからずいらっしゃることをクリニックで知りました。そのとき、どんな選択肢を御提示できるか、勉強します。

大腸縫縮器具・・・MicroTech社から45000円の縫縮器具です。大きな病院でチャレンジングな内視鏡治療が行われ、消化管に穴が空いてしまったときにすぐに穴を塞ぐことができます。値段は高いですがユニバーサルデザインでわかりやくて素晴らしいと思いました。

Sure Clip eco・・・大きな大腸ポリープを切除したとき、後から出血しないようにクリップで傷を縫うのですが、そのクリップは使えば使うほどクリニックが赤字になる国です。ですので、クリップが必要な大きなポリープは治療しないクリニックや、クリップを最低限しか使わないクリニック、クリップ代を何らかの形で自費で徴収するクリニックなどがございますが、いずれもあまり望ましくないと考えます。今回、リーズナブルなクリップができたとのことで、大変素晴らしいと思いました。

記事監修者

院長 谷口 孝伸

院長 谷口 孝伸

日本内科学会 認定内科医 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

弘前大学を卒業。立川の地で12年間、消化器内科医として研鑽を積み、甲府共立病院・がん研有明病院にて大腸カメラ、超音波内視鏡等の専門的な検査技術を習得。2024年8月、立川髙島屋S.C.大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

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