2024年9月14日
「下痢が続いてつらい…何を食べたらいいの?」
突然の下痢に見舞われると、食事にも気を遣いますよね。消化器病専門医として、下痢の症状を和らげる食事について解説します。下痢の原因は様々ですが、適切な食事を選ぶことで症状の改善を促し、体への負担を軽減することができます。
この記事では、下痢の時に避けるべき食べ物、積極的に摂りたい食べ物、そして具体的な食事例をご紹介します。消化の良い食事を心がけることで、つらい下痢の症状を和らげ、早期回復を目指しましょう。
もし、下痢が長引いたり、血便や激しい腹痛を伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。当クリニックでは、大腸内視鏡検査などを行い、下痢の原因を詳しく調べることも可能です。専門医による適切な検査と治療を受けることが、早期回復への鍵となります。
下痢の原因
下痢は、様々な原因によって引き起こされます。原因を理解することで、適切な食事を選ぶ際の参考になります。
主な下痢の原因
感染性腸炎
ウイルスや細菌、寄生虫などが腸に感染することで炎症を起こし、下痢を引き起こします。代表的なものとして、ノロウイルス、ロタウイルス、サルモネラ菌、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157など)などがあります。
食中毒
腐敗した食品や毒素を含む食品を摂取することで、腸が刺激され下痢を引き起こします。
過敏性腸症候群(IBS)
ストレスや不安、特定の食品などによって腸が過敏になり、下痢や便秘、腹痛などを繰り返す病気です。
炎症性腸疾患(IBD)
潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性的な炎症が腸に生じる病気で、下痢や血便、腹痛などを引き起こします。
薬の副作用
抗生物質や一部の抗がん剤など、特定の薬の副作用として下痢が起こることがあります。
食物アレルギー
特定の食品に対してアレルギー反応を起こし、下痢などの症状が現れることがあります。
消化器系の病気
大腸がんや腸閉塞、膵臓の病気など、消化器系の病気によって下痢が起こることがあります。
その他の病気
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)など、消化器とは一見関係のない病気でも下痢を引き起こすことがあります。当院では総合内科専門医の院長が内視鏡や消化器内科以外の視点でも患者様を診ておりますため、万が一受診する科を間違えて当院にいらっしゃった方でも、適切な科に誘導できます。
下痢が長引く場合は消化器病専門医に相談を
下痢が数日以上続く場合や、血便、激しい腹痛、発熱などの症状を伴う場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。特に、高齢者や乳幼児、基礎疾患のある方は注意が必要です。大腸内視鏡検査などを行い、原因を特定し適切な治療を受けることが大切です。
下痢の時に避けたい食べ物
下痢の時は、消化管に負担をかけないよう、消化の悪いものや刺激の強いものは避けましょう。
避けるべき食べ物
脂肪分の多い食品
揚げ物、脂っこい肉、バター、生クリームなどは消化に時間がかかり、腸に負担をかけます。
食物繊維の多い食品
ごぼう、きのこ、海藻、豆類などは消化が悪く、腸を刺激する可能性があります。
刺激物
香辛料、唐辛子、わさび、コーヒー、アルコールなどは腸を刺激し、下痢を悪化させる可能性があります。
冷たいもの、熱いもの
冷たい飲み物やアイスクリーム、熱いスープなどは胃腸に負担をかけ、下痢を悪化させる可能性があります。
乳製品
牛乳、チーズ、ヨーグルトなどは乳糖不耐症の方にとって下痢を引き起こす原因となることがあります。
人工甘味料
一部の人工甘味料は消化不良を起こし、下痢を引き起こすことがあります。
生の果物や野菜
消化に時間がかかるため、下痢の時は控えましょう。特に、皮や種は消化が悪いため、取り除いてから食べるようにしましょう。
アルコール
腸を刺激し、脱水症状を悪化させる可能性があります。
注意が必要な食品
炭酸飲料
ガスが腸を刺激し、下痢を悪化させる可能性があります。
カフェイン
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインは腸を刺激する可能性があります。
これらの食品は、下痢が治まるまでは控え、症状が落ち着いてきたら少しずつ摂取するようにしましょう。
下痢の時に積極的に摂りたい食べ物
下痢の時は、消化に良く、水分や電解質を補給できる食べ物を積極的に摂りましょう。
おすすめの食べ物
水分
経口補水液、麦茶、番茶、白湯など、カフェインを含まない温かい飲み物がおすすめです。脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給を心掛けましょう。
炭水化物
お粥、うどん、そうめん、白米、食パンなど、消化の良い炭水化物はエネルギー源となり、腸への負担も少ないです。
タンパク質
鶏ささみ、白身魚、卵、豆腐などは消化の良いタンパク質源です。腸の修復を助け、体力の回復にも繋がります。
ビタミン
ビタミンCやビタミンB群は免疫力を高め、腸の回復をサポートします。柑橘類、キウイフルーツ、ブロッコリーなどがおすすめです。
ヨーグルト
腸内環境を整える善玉菌が含まれており、下痢の改善に役立つことがあります。ただし、乳糖不耐症の方は注意が必要です。
りんご
ペクチンという水溶性食物繊維を含み、腸内の水分を吸収して便を固める効果があります。すりおろしたり、加熱したりすると消化が良くなります。
バナナ
カリウムを豊富に含み、消化にも良いのでおすすめです。
その他
温かい食べ物
温かい食べ物は胃腸を温め、消化を助けます。冷たいものは避け、温かいものを摂るようにしましょう。
少量ずつ、こまめに食べる
一度にたくさん食べると消化管に負担がかかるため、少量ずつ、こまめに食べるようにしましょう。
これらの食品を参考に、バランスの良い食事を心掛けましょう。症状に合わせて、食べられるものを選ぶことが大切です。
下痢におすすめの食事メニュー
下痢の時は、消化に良い食材を使い、調理方法にも工夫が必要です。ここでは、下痢の時におすすめのレシピをいくつか紹介します。
レシピ例
おかゆ
白米を柔らかく煮込み、梅干しや塩昆布などで味付けします。消化に良く、水分補給にもなります。
うどん
消化の良いうどんを使い、温かいつゆで食べましょう。具材は、鶏ささみ、卵、ネギなど、消化の良いものを選びましょう。
白身魚の煮付け
白身魚を柔らかく煮込み、生姜やネギなどで風味を付けます。消化の良いタンパク質を摂取できます。
豆腐のあんかけ
豆腐を軽く煮て、あんかけをかけます。あんかけには、鶏ひき肉や野菜などを加えてもよいでしょう。
りんごのコンポート
りんごを皮と芯を取り除き、砂糖とレモン汁で煮込みます。ペクチンが腸内の水分を吸収し、便を固める効果があります。
バナナヨーグルト
バナナとヨーグルトを混ぜ合わせます。腸内環境を整え、消化を助けます。
調理のポイント
柔らかく煮込む
食材を柔らかく煮込むことで、消化を良くします。
薄味にする
濃い味付けは胃腸に負担をかけるため、薄味にしましょう。
油を控える
油っこいものは消化が悪いため、油の使用は控えめにしましょう。
温かい状態で食べる
温かいものは胃腸を温め、消化を助けます。
まとめ
下痢は、誰しも経験する可能性のある身近な症状ですが、適切な食事管理によって症状を和らげ、早期回復を促すことができます。
下痢の原因は様々ですが、感染性腸炎や食中毒、過敏性腸症候群などが考えられます。
下痢の時は、消化に悪いものや刺激の強いものは避け、消化の良いものや水分、電解質を補給できるものを積極的に摂りましょう。
よく、水を飲むと下痢になるから水を飲まない、という方がおりますが、むしろ逆で、下痢で出てしまう分以上に水を飲まないと、脱水が進行して徐々に衰弱してしまいます。下痢の時はとにかく水分摂取を心がけてください。
おすすめの食べ物として、おかゆ、うどん、白身魚、豆腐、ヨーグルト、りんご、バナナなどがあります。
下痢が長引く場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診し、専門医の指導のもと適切な治療と食事管理を行いましょう。
当クリニックでは、経験豊富な消化器専門医が、下痢の原因を詳しく調べ、患者さんに寄り添った診療を心掛けています。下痢でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
正しい食事管理と専門医のサポートによって、辛い下痢を少しでも早く乗り越え、健康な毎日を取り戻しましょう。
関連記事:下痢が続く・ひどい下痢